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日弁連副会長の不思議生活(その3)(弁護士 松田 幸子)

  • 2013.12.11

(立て続けに海外に行く)
日弁連副会長に就任して,約8か月が経過しました。
いまさらですが,日本弁護士連合会(JFBA)とは全国の弁護士が全員加入しなければならない団体です。また弁護士は各地の弁護士会にも加入しなければなりません。弁護士には監督官庁はありません。弁護士の使命は基本的人権の擁護と社会正義の実現です(弁護士法1条)。歴史上は個人の権利は権力を持つ国王や政府によって侵害されてきました。今でも政府の行為が個人の権利を不当に制限する危険は常にあると言えます。弁護士は個人の権利を守るために政府と対決することを求められます。そのような弁護士が政府の監督を受けるのではその役割は果たせません。ですから,弁護士は直接国,政府の監督を受けず,替りに自治権をもった弁護士会が個々の弁護士の職業倫理等を定め,懲戒権を持っています。日弁連の役員は会長,副会長,事務総長,事務次長ですが,日弁連の人権擁護活動や法制度への提言(国民の権利侵害につながる法案に対する反対運動も。最近では特定秘密保護法案反対運動),弁護士の研修,弁護士の職業環境整備,資格審査や懲戒など広い範囲の活動を役割分担をしつつ取り組んでいます。
最近は国際的活動が多くなり,私の担当任務のひとつになっています。これまでサンフランシスコ,韓国(慶州),パリ,シンガポール,ベトナムと5回の海外出張がありました。これで終わりかと思ったら来年1月と2月にも2回ほど行く予定が追加されました。特にアジアが多いのですが,日本の弁護士がアジアの国々で近代的な法制度を作るための支援をしており現地の方々から大変感謝され尊敬されているのを見るのが誇らしく楽しみです。それと同時に,向学心が強くまじめに法学を学ぶ現地の若者たちの熱気に触れることは刺激的でもあります。相当「偉い」人という扱いを受けるのが少々面はゆいのですが,いい意味での緊張感があり,「仲よくしたい気持ち」が強くなります。国際交流というのはこんな単純な心のふれあいから始まるのだと思います。何度も国際会議でお会いする韓国やシンガポール,香港などの弁護士や日本の国際派弁護士とも知り合うことができ,とても貴重な体験になっています。

(ベトナムで民族衣装と着物に挑戦)
アジアの国々では日本はまだまだあこがれの国ではあるようです。経済的に先に発展したということもありますが,法律がきちんとしており,公務員の汚職がない(少なくとも横行していない)清潔な国であることが大きいと思います。もちろん四季のある美しい風土,繊細な文化,清潔で整然とした街並みや安全性,便利なこと,食事が美味しいことなどはアジアだけでなく世界中から評価されています。
海外に行くようになって改めて日本の良さを痛感し,それを発信することも大切だと思うようになりました。そこで手始めに着物に挑戦しています。失敗もしていますが,ベトナムでは日弁連との友好協定締結式があったので,着物を着てみました。(ついでに8年前に観光で行ったときに作ったアオザイも初めて着てみました。寒くてぶるぶる震えながら。)

(何とか太らずにすんでいます)
とにかく,会議の連続で,分厚い資料との格闘が続いています。会議にはお弁当が出ますが高カロリーです。懇親会も多いので飲食の機会も多く,歴代の副会長は1年が終わるころには別人のように「成長」(太って)しまうことが多かったようです。しかし,今年の副会長にはあまり太った人はいません。私は足が悪いので太るわけにはいきません。昼の弁当は断って何とか体重を維持しています。夜は食事もお酒も楽しみですから我慢できません。

(来年4月からは・・・・)
任期は来年3月までですから,来年の4月からは元の仕事に戻る予定ですが,任期が終わっても次年度以後も役職を変えて日弁連の仕事を割り振られることがあります。通称「後三年の役」と言っています。1年間でやれることや分かることには限りがあり,担当した分野に引き続き関わって,次に引き継ぐ必要があるそうです。事務所や相談者の方々にご迷惑をかけているのですから今年度のように海外に頻繁に出かけるのは避けたいのですが・・・・・。
他に,子どもの権利,非行を犯した子どもの事件に付添人をつける活動,両性の平等,男女共同参画推進,自由権規約や社会権規約,各種条約など国際人権問題,弁護士過疎問題も担当しており,どこかから何か仕事が降って来るかもしれません。でも,それは私だけではなく,宮崎はもちろん全国の多くの弁護士は普通の事件をやりながら,弁護士の社会的使命のために様々なことをやっているのです。
(以上です。)