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刑事事件の手続について(逮捕されてから釈放されるまで)(弁護士 新福 宏)

  • 2014.6.3

1 はじめに
「家族が逮捕された。」
自分とは無関係のドラマの中の出来事と考えていらっしゃる方がほとんどだと思います。
しかし,何らかの事件に巻き込まれることもあるでしょうし,交通事故を起こして逮捕されることもあり得ます。
そのようなとき,これから一体どうなってしまうのだろう・・・と漠然とした不安を抱えることになろうかと思います。
今回は,刑事事件の手続について,簡単にご説明したいと思います。
(簡易な事件を対象としたご説明であり,事案により大きく異なりますので,詳細は弁護人に確かめて下さい)。

2 逮捕から勾留まで
まず,逮捕をされると,警察署の留置施設に留め置かれ,身体拘束が始まります。
48時間以内に検察庁に送られ(送検といいます。TVでよく聞きますよね。),検察庁が24時間以内に勾留請求するかどうか決め,勾留請求がされたときに裁判所が勾留するかどうか決めます。
勾留請求がされないか,勾留にならなければ,身体拘束が解かれます。
(このとき「勾留が間違っている。」と主張することを準抗告といいます。)
勾留になると,勾留になった日から原則10日間,延長されると最大20日間,身体拘束されることになります。つまり,逮捕から数えると最大23日間です。
この間は,基本的に警察署の留置施設にいますので,接見禁止になっていなければ,ご家族が面会することもできます(時間の制限等がありますので注意して下さい)。

3 検察庁の処分(起訴・不起訴等)と保釈
勾留期間(通常10~20日)が終わりますと,検察庁が処分を決めます。
大きく分けると,裁判をする公判請求(起訴),略式請求(罰金),釈放(不起訴)があります。
略式請求については,以前のコラムでご説明したとおりで,釈放されます。
不起訴になれば,別件で逮捕されない限り釈放されます。
公判請求をされると,身体拘束が続きます。警察署の留置施設にそのままいることもあれば,拘置所に移送されることもあります。
このとき身体拘束を解くためになされるのが保釈という手続です。
保釈が認められない限り,通常は裁判が終わるまで身体拘束が続きます。

4 判決
通常,起訴後1か月程度で1回目の裁判があります。
その先は事案次第で裁判の回数が変わってきます。
最終的に判決が下されると,判決の内容によって身体拘束の有無が変わります。
無罪や,有罪であっても執行猶予付きであれば釈放されます。有罪で執行猶予が付かない場合(実刑といいます。)は,身体拘束が続きます。
そして,控訴せずに2週間が経過すると判決が確定し,その後刑務所に行くことになります。

5 まとめ
身体拘束が解かれるタイミングとしては,概ね
① 勾留にならなかったとき
② 略式請求又は不起訴になったとき
③ 保釈のとき
④ 無罪や執行猶予付きの判決だったとき
が考えられます(他にも色々とありますが,細かいところは省いています)。
身体拘束の期間は,仕事をお休みする期間ということになりますので,解雇の危険性に影響します。
①なら逮捕から約2~3日後,②なら逮捕約12~23日後,③は起訴後(逮捕時からだと②以降),④だと短くても1か月以上(長いと1年以上になることも)。
①ならまだしも,②~④だと解雇の可能性が相当高まりますので,ご家族の生活にも多大な影響を及ぼしかねません。

今回は,単純な事案に関しての簡単な説明になっています。
ただ,みなさんに,逮捕されると結構長期間にわたって身体拘束をされてしまうのだな,ということがご理解いただければ幸いです。
もし逮捕されるようなことがありましたら,弁護士にぜひご相談下さい。①の時点で(もしくはそれに近いとき)釈放されるよう活動をできるかもしれないからです。